本記事では、NVC・非暴力コミュニケーションの基礎をお伝えします。
コミュニケーションで、なんでわかってくれないの!と思ったり、思い通りにいかなくてイライラすること、ありますよね。
私のコーチングのクライアントさんの悩みも人間関係がとても多いです。
人間関係やコミュニケーションって難しいと思われている方も多いと思います。
今回解説するNVCは、その人間関係とコミュニケーションをより良くしていく、平和にしていくための非常に強力な方法です。
前半に概念的な解説、そして後半にNVCの日常での会話例を使ってより詳しく解説しています。
この記事を最後まで読まれるとNVCとはなにか、その目指しているもの、具体的なコミュニケーションの方法、そして実践していく際にとても大切なことがわかります。
これらを理解し、実践し、身につけていくことで少しずつより良い人間関係をつくっていくことが可能になりますので、ぜひ最後まで記事をお読みください。
Contents
NVC・非暴力コミュニケーションとは
NVC(Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)とは、1970年代に、アメリカの臨床心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグ博士によって体系化され、提唱された、自分の内と外に平和をつくるプロセスです。
(NVCジャパンのウェブサイトより)
この「自分の内と外に平和をつくるプロセス」をより具体的に表現すると、
NVCとは、
自分と相手とのつながりと共感を持ちながら、お互いが必要とすることを心から与え合える状態になるまで話し合いを続けていき、結果として平和を創り出していくコミュニケーションの方法
と言えます。
今のはNVCを学び、実践し、教えてきた私なりに表現したものであり、フォーマルな定義ではないことをご理解くださいね。
この目指す状態を実現するために、NVCでは以下の4つの要素というものをコミュニケーションにおいてとても大切にしています。
・観察(Observation)
・感情(Feeling)
・必要としているもの、ニーズ(Need)
・リクエスト(Request)
これらに注目しながら、自分との内なる対話や、相手との対話を行うのがNVCです。
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NVC・非暴力コミュニケーションにおける4要素の解説
NVCをまず学ぼう、実践しようとしたときに、この4つの要素は非常に助けになります。
4要素それぞれ非常に奥深く、いくらでもお伝えする余地はあるのですが今回は本当に基礎であり大事なポイントを極力簡潔に解説します。
ちなみにこの4要素は英語の頭文字をとって、OFNRと呼ばれたりします。
1.観察(Observation)
ここでのポイントは事実を観察する、ということ。
評価や色眼鏡、印象論、勝手な解釈や認知の歪みを外して、ビデオカメラで撮影した動画のように、可能な限り今起きていることを評価判断なく観察することが重要です。
なぜなら、評価や印象論が対話に入ってくると、同じものを見られなくなり、争いや誤解の原因となるからです。
たとえば、「あなたはいつも散らかしっぱなしでだらしない人だ」は印象論と評価に基づいた表現。
なぜなら「いつも」って本当にいつもかと言うと、そうではない場合もあるでしょうし、「だらしない人」は事実ではなくその人に対する評価だからです。
一方、「あなたは昨日、読んだ本をそのままソファの上においていた。そして今日、空のペットボトルをソファの上においている。」は両者が確認できる事実になります。
ちなみに認知の歪みとは、出来事を歪んで認識すること。こちらの記事で詳しく解説しています。
2.感情(Feeling)
観察したことから湧き上がる感情に注意を向けましょう。
なぜ感情に注意を向けるのか。
ここでは2つ理由をお伝えします。
一つは、思考だけだと、どちらが正しいか間違ってるか、や批判やジャッジになりがちになり、NVCが目指す「平和な状態」に向かいにくいからです。
もう一つは、感情に意識を向けることで、その奥にあるニーズにつながることが可能になるからです。
ニーズとは3つ目の要素であり、ニーズにつながる とは自分自身とつながるとも言え、自分とつながるからこそ、人ともつながろうとすることが可能になるのです。
ですので、どんな感情が湧いていてもそれを評価判断なく受け止め、歓迎し、必要に応じて言葉にしましょう。
3.必要とするもの(NEEDS)
必要とするもの は 感情の根底、感情の奥にあるものです。さらに私達人間が心身ともに健やかに生きるために不可欠なものです。
NVCを体系化したマーシャルローゼンバーグ博士の著書、NVCという本にはたくさんのニーズの例が載っています。
たとえば、
誠実さや理解、承認、尊敬、信頼、親密さ、楽しさ、平和といったものたち。
こういったものたちを必要とするときに得られないと、私たちは心身ともに健やかに生きていくことができません。
そしてNVCでは、
例外はあるにしても、他者の言動は刺激になったとしても、不愉快な気持ちになる原因にはならない。
不愉快な気持ちの原因は その感情の奥底にあるニーズが満たされていないから。
と考えます。
私たちは、ある人の言動で私達が不愉快になったり傷ついたら
ついつい「あなたの言動で私はこんな嫌な感情になったぞ、どうしてくれるんだ」と相手の言動を批判したり責める気持ちになりがちです。
この時、意識の矢印は相手に向かっています。
ですが、NVCでは「この嫌な感情はあなたの言動が刺激になって、私の必要としているものが満たされなかったから」と考えるので、
「私は何のニーズが満たされていないんだろう」という問いが生まれ、意識の矢印は自分の内側に向かっていきます。
このように自分の感情を相手のせいにするのではなく、
不快な感情の原因を自分に求めることで、自分の感情に自分で責任がとれる、より成熟した人間となっていけるのです。
しかし、私たちは「一緒にいたい」「大事にされたい」「聴いてもらいたい」といった 必要としているもの(ニーズ)にはなかなか気づけません!
先に感情が湧き上がってきて、それに振り回されがちになるからです。
もしあなたや相手にネガティブな感情が湧き上がっているなら、感情を受け止めつつ、その感情の奥に何が必要なのに満たされていないのか、探究し、言葉にしていきましょう。
4.要求(Request)
4つ目の要素は要求。NVCでは、自分や相手の必要なものを満たすために、具体的な要求を行います。
自分が相手に要求する場合、明確で、具体的で、肯定的な言葉を使うようにしましょう。
さらに、リクエストは強制ではありません。相手がどうするか決めやすいような言葉で表現することも大切です。
「トイレの蓋を開けっ放しにするのはやめて」という否定的で強い表現の要求より、「トイレの蓋をしめておいてほしいんだけど、やってもらえるかな?」といったほうが相手は受け取りやすいでしょう。
以上がNVCを構成する4つの要素、OFNRです。
NVC・非暴力コミュニケーションの会話例
それではここから、日常でのNVCの会話例を使って、理解を深めましょう。
例えば状況として、
あなたが仕事から帰ってきたら、パートナーがリビングに脱いだ服やポテチの空き袋やレシートなどを床に散らかしてソファでスマホをいじっていたとしましょう。
ここでNVC的でないものでコミュニケーションするとどんな感じになるでしょう。
相手を責めるアプローチでは
「今朝私が掃除したのに散らかして!そういうだらしないことやめてよ」と言うかもしれませんし
または皮肉で
「せっかく私がきれいにしたリビングを、いい感じで散らかしてくれてるね。仕事を増やしてくれてありがとう。」
などと言うかもしれません。
諦めや我慢の場合もありますよね。
心のなかで「どうせ喧嘩になるから私が我慢して片付けよう。」といいながら黙々と片付けるかもしれません。
いずれにせよ、お互いにつながりや共感、そして必要なものを与えあい、満たし合うという状態には近づいていませんよね。
では、NVCではどのようにアプローチするのでしょうか。
NVCでは大きく分けて
1.自分の4つの要素を率直に表現する。
2.相手の4つの要素を共感をもって受け止める。
という2つのアプローチがあるのですが・ここでは1番目の 自分の4つの要素を率直に表現する、を選択した場合で考えてみましょう。
OFNRについて自分で言葉にしていきます。
まず観察できることは、
今朝私が綺麗にしたリビングの床には今現在、脱いだ服とお菓子の袋とレシートが散らかっている。
という事実。
そして私の感情は
少しイライラしているし、残念さもある。
私が必要としているもの、感情の奥にあるものは、
キレイなリビング
要求・リクエストは、衣類は脱いだらカゴに入れる、ゴミはゴミ箱に入れること、
これをこんな風に伝えてみましょう。
「床に脱いだ服やゴミがおいてあるね。
私にとってリビングはキレイにしておきたい大切な場所なの。だから今朝もキレイにして出ていった。
そこを散らかされて少しイライラしてるし、残念な気持ちもあるわ。
服を脱いだら、そのまま衣類を入れるカゴに入れてほしいんだけど、やってくれるかしら。」
今の表現、先程の攻撃や皮肉よりはグッと受け取りやすいですよね。
さらに我慢して自分の中にストレスを溜めることにもなりません。
これで相手が「あ、そうだったね。」といって片付けてくれる場合もあるでしょう。その場合、相手がイヤイヤでなければNVCのプロセスは一旦完了です。
もちろん動いてくれない場合もあります。
そんな簡単にいかないこと、多いですよね。
相手が無言でスマホをいじり続ける場合もあれば、「ええやん、それくらい、やってくれても~。」と言い返されるかもしれません。
そうなると、お互いが必要なものが満たせていない、与えあえていない状態なので、NVCのプロセスは続行です。
ここでもNVCでどう応答するか、様々な選択肢があります。
ここでは相手も明らかになにかのニーズが満たされていないと判断して、相手に対する4つの要素を使って共感する場合を考えてみましょう。
たとえば、こんなふうに。
「なんだか疲れてるようにみえるけど、なにか嫌なことがあって落ち込んでる?だから動きたくない。ゆっくりしたいし、ぼーっとしてたいのかな。」
ここで
「疲れてるように見える」は 観察で
「落ち込んでる」は 相手の感情の推測
「ゆっくりしたいし、ぼーっとしてたい」は 相手のニーズの推測です。
このように4つの要素を使いながら、相手が何を必要としているのか、観察しながら推測して確認するのです。
これがNVCで言う 相手に対する共感です。
もし観察に基づいた推測があたっていたら、相手の気持ちはどうなるでしょう。
「そうなんだよ、実は仕事で嫌なことがあって、、」と、その時相手に必要な 聴いてもらう ニーズを自ら満たそうとし始めるかもしれません。
もし相手のニーズが満たされたなら、こちらのリクエストを聴いてもらえる可能性はぐっと高まります。
またこの推測が違っていたとしても、このような投げかけだと相手も
「そうじゃないんだ、実は、、」
と正直に話しやすいですし、平和な対話に繋がりやすいですよね。
このようにNVCは自己表現の道具のみではないので、自分が4要素を表現して終わり、ではありません。
お互いが必要とするものを心から与えあいたい、と思える状態までときに根気強く話し合いを続けていくのがNVCです。
会話例はここで一旦終えますね。
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NVC・非暴力コミュニケーションを身に着けていく上でとても大事なこと
ちょっと難しいな~。と思われた方も多いでしょう。
はい、簡単ではありません。
ただ、皆さん思い出してほしいのですが、何かスポーツを身に着けたり、車の運転免許を取得したり、自転車に乗れるようになったり。
これらって頭で理解してもすぐにできるようにはならないですよね。
カラダがついてこなくてたくさん失敗しましたよね。
NVC習得のプロセスもこれに似ています。
特に難しいのは 相手への共感 なんですけど、ここも含めてできるようになっていくと人間関係は劇的に変わります。
相手への共感をすることで険悪だったりピリッとしていた雰囲気が大きく変わる経験を私もたくさんしていますし、私の周りの人もたくさん経験しています。
絶対、この技術を習得したら人生にポジティブな影響があります。
これは断言します!
もちろんNVCも万能薬ではありませんが、多くの場面で役に立ってくれるものです。
諦めずちょっとずつ、千里の道も一歩からで身につけていってほしいなと思います。
で、身につけていくには、NVCの連続講座を受けられることをおすすめします。
たとえば合気道を身に着けていく場合でも、いきなり実戦で暴漢を相手にしませんよね。教室で一緒に学ぶ仲間と練習するじゃないですか。
それと一緒です。
まずは安全な場で、しっかり基礎を身に着けましょう。
NVC・非暴力コミュニケーションの参考情報
今回お伝えした内容は、私自身が学んだ内容、NVCの書籍、そしてNVC Japanのウェブサイトに載っているものを参考にしています。
NVCジャパンのウェブサイトには講座情報なども含めて様々なお役立ち情報がたくさん載っていますので、ぜひ一度御覧ください。
たくさんの充実した情報が載っていますし、様々な講座の情報も掲載されています。
NVCの書籍では、まずはやはりこちら!原点でもありバイブル。マーシャル博士が書かれたNVCです。
また、2021年12月に翻訳・出版されたこちらの本もおすすめです。
先にも述べた通り、こういった頭の理解も深めながら、実戦をつうじてともに平和をひろげていきましょう。
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ここまで読んでくださった あなたに祝福の光が降り注ぎ、ますます輝く毎日になることを心から祈っています(。-人-。)
河野雅(こうのまさし)@輝くヒントでした。
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