あなたは自分の感情の取り扱い方を知っていますか?
イライラしたとき。
ざわざわしたとき。
モヤモヤしたとき。
どうすればよいのか。
私たちの多くは、生きていく上でこんなにも
基本的で大切なことを教わってきていません。
逆に、感情の取り扱い方、心の仕組みを知ると、
周りの人の言動や外側の出来事に刺激を受けることが減り、感情に振り回されにくくなり、
さらに自分に主導権を取り戻していけるようになるんです。
本記事では「心の仕組みを理解すること。感情(Feeling)と必要とするもの(Needs)」というNVC(Nonviolent Communication)の概念を参考にしつつ解説します。
Contents
感情にまつわる誤解。
私たちは、
「嫌なことがあるとネガティブな感情が湧き上がり、
嬉しいことがあるとポジティブな感情を感じる。」
そしてその嫌なことの原因は周りの出来事や周りの人の言動、または自分自身の振る舞いが原因である。
だから、この嫌な気持ちは
「嫌なことがあったから。」「あの人が悪いから。」「自分が悪いから。」
そんなふうに思いがちですよね。
式であらわすと、
特定の出来事や人の言動=嫌な気持ちの原因。
このように思っている方が多いのではないでしょうか。
ですが、これは間違った理解なんです。
なぜなら、同じ状況や場面・人に遭遇しても、
嫌な気持ちになる人と、そうではない人がいるからです。
さらに言うと、同じ人でもその時の状況によって嫌な気持ちになる場合とならない場合が存在するんです。
スポンサーリンク
心の仕組みをあらわす式。
心の仕組みの正しい式は以下のように表されます。
特定の出来事や人の言動→私のニーズや価値観が満たされなかった場合→私が嫌な気持ちになる。
特定の出来事や人の言動→私のニーズや価値観が満たされた場合→私がポジティブな気持ちになる※。
私たちは自分が必要としているものや価値観(Needs、Value)が
満たされなかったときにネガティブな感情(Feeling)が湧き上がり、
自分が必要としているものや価値観(Needs、Value)が
満たされるとポジティブな感情(Feeling)が湧き上がります※。
※もちろんこれ以外でも感情が動くことはありますし、「起きた出来事をどう解釈するか。」ということも影響します。が、内面で起きていることをとてもシンプルにすると、多くの場合この式で表現が可能になります。
そして、必要としているものや価値観は人によって異なります。
同じ人間でも状況や心・体の状態によって「必要なもの」は変わってきます。
私達に必要なもの=ニーズ、価値観とは。
ここで「必要なもの」=ニーズや価値観とはなにか?について触れておきましょう。
ニーズや価値観は、私達が心身ともに健やかに、人間らしく生きていくために不可欠なものたちのことです。
そして多くのものが概念的なもので抽象的な言葉で表されます。
たとえば 自由 正直さ 学び 創造性 つながり わかちあい 平和 大事にされる 聴いてもらう 見てもらう といったものです。
そして、その瞬間、必要としているものや価値観、大事にしたいことは人によって異なります。
また、同じ人間でも状況や心・体の状態によって「必要なもの」は変わってきます。
スポンサーリンク
帰ってきたパートナーがすぐにテレビを見始める、という出来事。
たとえば、あなたのパートナーが仕事が終わって帰ってきてすぐにテレビをつけてぼーっと見続けている、いうことがあったとします。
するとあなたはイライラしはじめます。
間違いの等式の場合
特定の出来事や人の言動(帰りが遅い)=嫌な気持ちの原因。
の考え方だと、嫌な気持ちの原因をつくった相手を責める気持ちが湧いてくるでしょう。
「帰ってすぐにどうしてテレビなの!?」
「私に注意を向けてよ。私の話を聴いてよ!」
というふうに。
または「こんな小さなことでイライラしている自分は器が小さい」と自分を責めだしてしまうかもしれません。
いずれにせよ、感情の原因は「外側の出来事」と思っている限り、気持ちの整理はなかなかつきません。
必要なものの等式の場合
それでは、
特定の出来事や人の言動→私のニーズや価値観が満たされなかった場合→私が嫌な気持ちになる。
の考え方だとどうなるのでしょう。
この考え方では、イライラの原因を「出来事」に直接結びつけるのではなく、まずは自分の内面を内省していきます。
すると、たとえば
私は今、注意を向けてもらいたい状態らしい=「見てもらうこと」のニーズ。
さらに話を聴いてもらいたい=「聴いてもらうこと」のニーズを満たしたかったようだ。
さらに会話を通じてつながりを感じたかったんだな。
なのに満たせなかったからイライラしているんだな。
といったことに気づいていきます。
こういった「見てもらう」「聴いてもらう」「つながり」といったニーズや価値観を必要としていて満たされなかったから、「イライラが湧き上がってきた」ということが明らかになるのです。
必要なものが違うと、湧き上がる感情もちがう
一方、似たような状況であっても「必要としているもの・価値観」が異なると湧き上がる感情は全く違ってきます。
自分がやるべきことがいっぱいでやることに追われている状態で パートナーが帰ってすぐにテレビを見だしたらどうでしょうか?
きっとイライラはしないでしょう。
なぜなら、自分がやるべきことをやりきる=「責任を果たす」「集中する」ということが必要だったから。
結果、テレビを見始めてくれたおかげでやるべきことが片付けられ、イライラどころか逆に充実感や達成感を感じるかもしれません。
—-
「パートナーが帰ってすぐにテレビを見始めた。」
というのはあくまで刺激であり、
その際にあなたが何を必要としているか、によってあなたの感情は全く変わってきます。
あなたの感情の原因はあなたの中にある。
無茶苦茶大事なことを言います。
あなたの嫌な感情の原因はあなたの中にある。
んです。
なので、
何かの出来事に対してネガティブな感情が湧き上がった場合、
相手を責めるでもなく、自分を責めるでもなく、まず見るべきは自分の内側なのです。
スポンサーリンク
「必要なもの」について抑えておくべき3つのこと
ここでこの考え方でありがちな誤解や留意点を4つお伝えします。
1.自分を責めない。
必要なものがある、満たされていないものがあるからといって、自分を責める必要はありません。
「のどが渇いた。水がほしい。」「お腹が減った。食べ物がほしい。」と言っている人が「悪い」わけではありませんよね?
例であげた「尊重」や「安心」。他にも人が人間らしく生きていくために必要なものはたくさんあり、状況によって誰しもが必要とするもの。「ただ、必要」なだけなのです。そこに良い・悪いはありません。
自分の何かが満たされていない、必要だからといって自分を責めるのはやめましょう。
2.相手を責める声があったとしてもそれを許す
「嫌な感情の原因は自分にある」という考え方はとてもパワフルですが、これを強く握りしめると、「相手を責める気持ちを抱いてはいけない。なぜなら原因は私にあるから。」という思い込みを抱いてしまいがちです。
ですが、私達は不完全な人間です。
嫌な気持ちになった時に、その刺激を与えてきた人を責めたくなるのはとても自然なこと。
なのでその気持を抱いている自分を認め、許しましょう。
そしてもし相手を責めるエネルギーが強い場合、相手に直接荒々しいエネルギーをぶつけるのではなく、安全な場で適切に表現することで冷静な自分を取り戻しましょう。
冷静な自分を取り戻せたら、自分の中の原因=必要なものや過去の傷 を探求することが可能になります。
3.極端な場合は助けを求めましょう
感情の原因は自分にある、と言いつつ極端な場合はこれに当てはまりません。
DVや虐待、パワハラにセクハラ、ネット上の誹謗中傷、差別的な言動など、こういった明らかに攻撃の意志がある関わりをされた場合は自分の内側を見るのではなく、すぐに然るべき場所に相談したり助けを求めましょう。
4.過去の傷とニーズ
特に強いネガティブな感情がぶわっと湧き上がる、いわゆる反応的になる場合は「過去に激しくニーズが満たされなくて心が傷ついた経験があり、その古傷が刺激された。」可能性があります。
要はトラウマからの反応ですね。
この場合、自分の心の傷を特定し、癒やしていくことで反応的にならずに済むようになります。いずれにせよ、感情が動く場合は自分の中を探求することが大切になります。
感情に振り回されず、主導権を取り戻す。
最初に述べた
特定の出来事や人の言動=嫌な気持ちの原因。
という考え方だと、いつまで経っても私達の感情は状況によってネガティブ・ポジティブに大きく振り回されます。 いわゆる一喜一憂してしまう状態です。
ですが、2つ目の等式
特定の出来事や人の言動→私のニーズや価値観が満たされなかった場合→私が嫌な気持ちになる。
だと、感情の原因は自分の内面にあるので、
「自分の必要としているものはなにか?」
というふうに「自分の内側」に意識を向けることで、
相手を責めたり
自分を責めたり
外側の出来事に感情を振り回される
という状態にはなりにくくなります。
そして、自分が欲しているものがわかると、気持ちは整理されます。
嫌な感情の原因を自分に惹きつけると、主導権を発揮できる。
さらに、自分の「必要としているもの」が明らかになると、それを自分で満たすように行動を起こすことが可能になります。
聴いてもらいたいなら、たとえばまず自分で自分の心の声を聞く、要は自分で自分を満たす、という行動ができます。
また、相手に「必要とするもの」を満たすよう要望をする場合も、大きく異なってきます。
「あなたが間違っている。」「あなたのその振る舞いのせいで私はイライラしている。」から直してほしい、というスタンスからの要望と、
「◯◯してもらえないか。なぜなら私は△△を必要としているから。」と一旦自分に引き寄せているスタンスからの要望。
どちらのほうが相手が受け取りやすいかは明白ですね。
もちろん、後者の伝え方をしたからといって、必ず要望が受け入れられるとは限りませんが、要望を受け取ってもらえる可能性は確実に高まるでしょう。
このように感情の原因を自分に引きつけることで、自分の内面(感情)に責任を持てるようになり、主導権を持つことができるようになるのです。
自分に主導権を取り戻すための第一歩。
ここまで読んでくださったあなた。
次にイライラ、モヤモヤなどのネガティブな感情になった時。
ぜひ、自分の内側に意識を向けてみてください。
そして「私は何が満たされていないからこの感情になっているんだろう。」と問いかけてみてください。
もちろんすぐに何が必要なのか、わからないことがほとんどでしょう。
ただ、この問いかけを自分に繰り返していくことで、少しずつ「自分に何が必要か」がわかるようになっていきます。
そして先に述べたとおり 必要なものがわかると 自分で満たすように行動を起こすことが可能になります。
まずはそのための第一歩。
「この感情は、私の何が満たされていないことを伝えようとしてくれているのか。」
この自分にとってとても大切な問を自分に投げかける癖を少しずつつけていきましょう。
ここまで読んでくださった あなたに祝福の光が降り注ぎ
ますます輝く毎日になることを心から祈っています(。-人-。)
河野雅(こうのまさし)@輝くヒントでした。
あわせて読みたい。