[コーチングで独立・起業。]専業プロコーチインタビュー09 土屋志帆さん

 

 土屋志帆

千葉県千葉市出身。

大学卒業後、リクルートグループに入社。企業の採用支援やキャリアコンサルタントとして転職支援に携わる。企業研修などに携わる一方「アシュラワークプロジェクト」というパラレルキャリアを推進するチームを運営。パーソナルコーチングの活動と共に、家族や組織の関係性のシステムコーチとしても活動。

2017年株式会社Co-leadersを設立、代表取締役として就任。

企業組織への組織開発のためのチーム「Plan.C LLP」を設立。

プライベートでは、7年のシングルマザー生活を経て、再婚。

京都にてステップファミリー構築中。組織の中でも家族の中でも、心理的安全性の場づくり、ファシリテーター型リーダーシップを育成している。

2018年9月よりWAKE UP社の協働コーチとしても活動。

◆資格等

CRR Global認定 Organization & Relationship Systems Certified Coach(ORSCC) 2017年2月取得

米国CTI認定 プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ(CPCC)  2013年10月取得

国際コーチ連盟認定プロフェッショナルコーチ(PCC) 2018年3月年取得

 

専業プロコーチ・インタビューシリーズの背景や意図はコチラの記事を御覧ください。

 

———-<以下・インタビュー本文>———-

 

ーーまずはコーチングの仕事の状況を教えてください。

 

現在は、パーソナル・コーチングを3割、カップル・ご夫婦のシステムコーチング※を4割、組織開発のお仕事を3割という感じです。

パーソナル・コーチングに関しては、クライアントさんは10人前後で、男性3割・女性7割程度。

経営者、社会起業家、管理職、ワーキングマザー、若手など様々です。仕事と自分の本当に大切にしたいこととの両立や人間関係に関するテーマが多いです。

 

※河野注:システムコーチングとは複数の人間(チーム・グループ)に対して行う1対多数のコーチングです。詳しくは以下のサイトを御覧ください。

システムコーチングのスクール:CRR Japanのウェブサイト

 

個人として一番やっていきたいのはカップルや家族です。ステップファミリー※を構築していくことへの支援も含みます。

※河野注:ステップファミリーとは、再婚するどちらかに子どもがいて、新たに作られる家族のこと。

 

ーーコーチングが中心の生活ってどのような感じでしょうか?

 

小学校4年生の子どもがいるんですが、その子がいない間が稼働時間なんです。

朝8時半~15時、16時くらいまで学校に行っていていないので、子どもがいない時間と夕食後の時間でほぼオンラインでコーチングをしています。

とは言え普通に主婦でもあるので、コーチングの合間に夕食の買い物に行って、家事をして、みたいなことをしています。

こういうのが日常で、今では「ママは今日は何時~何時、コーチングだから。」が子どもにも通じるようになりました。

たまに出張や研修・オフサイトミーティングで合宿などもあります。

そういう場合「それに行っていいか。」について家族会議をし、OKの場合は夫は在宅勤務の調整をしてくれます。子どもも言いたいことは言うんですね。「外泊は嫌だ。」「二泊は嫌だ。」とか。なので彼の意思も聴きながら調整をしています。

 

ーーご家族で協力しあって、賑やかで楽しそうですね。

 

そうですね。今の状態が理想的な感じがしています。

前に会社員をしながらコーチをやっていたときは、ヒーヒー言いながらやっていました。

千葉に住んでいたときは通勤に1時間半かかっていましたし、子どもとの時間も取りたかったので、本当に大変でした。

独立して通勤の時間がなくなったのが本当に素晴らしくて。先日のコーチングのクライアントさんも、東京からわざわざ京都に来てくださったり。

子どもとの時間をあまり持てなくて母にほぼお任せしていたので、子どもとの時間を取れるようになったのも今だからこそ。

もっともっと自分が活かされるといいなと思いつつ、でも理想なのでありがたいですね。

 

ご家族での写真。

 

働く女性として順風満帆の毎日が、夫の事故で一変。

 

ーーそれでは、現在に至る物語をお聞かせください。

 

私は前の夫との子どもを2008年に出産したんです。当時はコーチングの「コ」の字も知りませんでした。

2006年に結婚して、翌年に子どもができて、という順風満帆な感じでした。

ですが、出産直前の臨月のときに前の夫が交通事故にあって接触事故で骨折。

その後、お互いコミュニケーションがとれていなかったことが明らかになり、驚きとショックの連続だったんです。

 

ーー具体的にお聞かせくださいますか?

 

当時、私はリクルートで働いていて産休中でした。

まさに子どもが生まれる。というタイミングだったので、コミュニケーションがとれていなかったことに対するショックや不満もありつつ、それを言っても仕方ないので、「どうしていこう。」という前向きな対話をしたかったんですね。

ただ、それがうまくいかない。会話ができない。そこで私は

「そんなふうに逃げたってしょうがないじゃないか。」

「話さないと始まらないじゃないか。」

「逃げるな。」

と責めてしまった。

 

コーチングを学んだ今なら決してやらないであろう関わりを、当時そういうことを全く知らなかった私はぐいぐいやってしまった。

結果的に、これ以上お互いの関係性をつくり続けることは難しいと思い、しばらく別居することにしました。

 

 

ーーその後、どうなったんですか?

 

そこから対話を再開することがうまくできなかったんです。

自分も出産後で不安定になっている状態で彼も自分のことがうまく話せない状況の中、心が全然寛容になれずに「これは続けるのは無理だ・・・。」と思ったんですね。

2008年の9月に出産して、翌年の春には会社に復帰するタイミング。4月の会社の育休復帰で、離婚を決めました。

 

ーーどんなお気持ちでしたか?

 

決断をすごく悩みました。子どもにとって、自分にとって、家族にとって何がいいか。そして、苦渋の選択の中で、離婚を決めました。

なのに、自分自身がその選択を納得できなくて、そのことを職場で全然話せないんです。

仕事があって本当に良かったと思うんですが、当時は人と触れ合うのが嫌でした。たとえば職場で後輩が他愛もなく、「こんな結婚式がいい!」と言っているのを聴くだけでヒリヒリ心が痛い。

「子ども産んで、結婚して。一見理想の先輩かもしれないけど、その実、ぜんぜん違うな。」って思ったり。

職場では心をシャットダウンして、ヒリヒリを飲み込んで「大丈夫大丈夫。」と自分に言い聞かせて、なんとかやっていこうとしていました。

 

ーーよく心が折れませんでしたね。

 

両親がすごく寄り添ってくれて応援してくれたんです。

同居して、母が面倒を見てくれる、ということを言ってくれて。よく働く会社なので、子どもが0歳のときから母親にお願いしていました。

自分の決めでいくらでも残業できる状態だったので、当時は時短せずにフルに働いていましたね。

夜7時や8時まで働くのは当たり前。帰ってくるのは夜の10時11時。そんな日々が続きました。

ときに「これで良いんだっけ?」なんて自分に問いかけたりもしました。ただ、良くないのはわかってるけど、どうしていいかわからない。

「やっぱり働き方を見直さなきゃ。」と思い始めたころに、ワーキングマザーがやっている働き方のワークショップというものの存在を知って、行ってみたんです。

表参道のウィメンズプラザ。

平田香苗さんというCPCC(Certified Professional Co-Active Coach)のコーチの方がその場を進行されていました。コーチという職業の方とのはじめての出会いでした。

参加されていた他のみなさんも子どもを持ちながら働くことについて、いろいろ考えている。

「私も考えなきゃ。」と思いました。

 

「子どもを預けてまでやる仕事ってなんだろう。働き方を考えなきゃ。」

そう思っていた私は、その頃転職をしたんです。

 

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転職と同じくして、コーチングのクライアントを体験。

 

ーーどのような会社に転職されたんですか?

 

それまでは企業側の求人広告をやっていたんですが、自分の働き方を考えるようになったことで、キャリアカウンセリングに興味を持ち、産休中にGCDFというキャリアカウンセラーの資格をとっていたんです。

そんな経緯から、企業寄りから個人よりの仕事にシフトしようと思って、転職紹介の会社にうつりました。

そのタイミングでコーチングも受け始めました。

 

ーーはじめてのクライアント体験はどのようなものでしたか?

 

話せば話すほど整理されていく感じでした。「自分が選んだ選択がこれでよかった。」「こっちに行きたいんだな。」といったことがよりわかるようになりました。

コーチングに出会う前、悩んでいた当時は本当にどうしたらいいのかわからなくて、実は心療内科のような、こころのクリニックには実は一回行ったんです。

病院ではなくカウンセリングみたいなものでした。

話を聴いてもらい、カウンセラーは離婚経験者で「離婚したからって自分を責めなくていい」とは言ってくれたんですが、私にはしっくりこなくて。

当時の私は「それはあなたのケースだよね。」とか思ったりして。

 

そこに通い続けることはしなくて、そのとき何が必要だったのかわからなかった。

 

時を経て、コーチングに出会って「あのとき欲しかったのはこれだったのか。」とわかったんです。

 

コーチングを受ける中で人生全体を扱って聴いてもらった。

私のやりたいことは人生全体を扱うこと。キャリアカウンセリングの向こう側。

コーチングを受けることでそのことに気づいたんです。

 

 

働きながら、CTIジャパンでコーチングを学び始める。

 

当時うけていたコーチングの最後のセッションでCTIジャパンの基礎コースに行くことを決めました。

会社員をやりながら、転職する直前に週末3日間のコースを学びだしました。その流れはスムーズで、本当にタイミングだったんだと思います。

 

ーーコーチングを学び始めて、どんな感じでしたか?

 

CTIジャパンでのコーチングの学びはすごく響いて、ど真ん中ででした。

当時の私は人前で泣くということを止めていたり躊躇してたんですが、あるワークで子猫になったんです(笑

子猫になって相手の膝の上でよしよししてもらったら、わんわん泣けて涙腺の蛇口がひらいちゃって。

その後は沢山涙を流しながら、学びを重ねていきました。

学んでいる中で「これは宗教じゃないの?」とかの懸念もありました(笑)が、学びが本当に素晴らしかったのでどうしても学びたくて。

当時の状況として有給休暇を使えなかったのですが、休んでも行きたかったので欠勤で応用コースを進んでいきました。

 

ーーCTIジャパンのワークショップで特に印象に残っている学びはありますか?

 

私はプロセスコース※が衝撃的でした。

離婚の経験を自分に対して「大丈夫・大丈夫。」と言い聞かせて頑張ってきたんですが、

ワークショップのコーチングの実習のクライアント体験で、「離婚でお先真っ暗。」「ここからどうやって歩いていくの。」といった、離婚当時の封印していた感情をしっかり味わいました。

 

※河野注:プロセスコースは自分や相手のネガティブ・ポジティブな感情との向き合い方を学びます。

 

その時の身体感覚で覚えているのが、私はお先真っ暗で不安いっぱいで身体をぎゅーっと下に向けて自分を守っていたんです。

すると、私のお腹の真ん中から豆粒のようなものが声を出していたんです。

「ママ苦しいよ。」って、子どもの声がしたんです。

下を向いてぎゅーっとやってると、私の中の内なる子どもが苦しがっている。

「そうかそうかごめんごめん。」

そう言って、窓の外を向いて手を広げました。

 

 

そこで、感情が反転して、自分自身を受容できたんです。自然と「このお先真っ暗の空間にいるのを止めよう。」という感覚がわいてきました。

この体験を経て、「私は、これが必要だった。」「これを求めている人が世の中にいる。」そう強く思うようになりました。

さらに「シングルマザーとして、痛みを持ってるけど外に出せずに抱えている。」という人のコーチになろうと強く思ったんです。

 

これが私のコーチとしての原点です。

 

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ABOUT US

河野 雅(こうの まさし)
阿蘇山のふもとで、ライフコーチをしています。株式会社みちあふれる輝き代表取締役。MCC(国際コーチ連盟認定マスターコーチ) NVC(Nonviolent Communication 平和を創り出す手法)をお伝えしたり、ブレスワークなどの身体に直接アプローチするメソッド、自然の中でのワークショップなどもしています。 このブログのコンセプトは、「楽しく」「ゆるく」「役立つ」。 私が20年にわたるコーチング経験などを中心に得た「人生に役立つ・毎日が楽しくなる・効果がある知恵・情報」をお届けしています。