「ネガティブな感情とどう付き合えばよいかわからない。」
こういった声を良く聞きます。
が、実はアカデミックの世界ではネガティブな感情との正しい付き合い方と、やってはいけないことは科学的な検証を経て明確になっています。
この記事では、嫌な感情に対してやってはいけないこと、どう付き合うべきか、どう対処すべきか、その最初の最初の、基本的な心の姿勢・スタンスを、科学的な根拠も含めてお伝えします。
Contents
ネガティブな感情にやってはいけないこと。
あなたはネガティブな感情、例えばイライラやムカムカ、落ち込み、怒り、嫉妬、不安などが出てきた時、どうしていますか?
嫌な気持ち、と言っている時点で、これらを良くないもの、悪いものと認識して、避けようとしていませんか?
たとえば別のことを考えて気分を変えようとしたり、頑張ってポジティブな感情に切り替えようとしたり。
または、感情をごまかすための様々な行為、お酒を飲んだり、食べ物や甘いものに逃げ込んだり、テレビ、スマホでSNSやゲームに没頭、他者への攻撃や八つ当たり、自分を責める、といったことを 無意識も含めてやってないでしょうか。
実は、この「嫌なもの」という認識が、そして「避けようとしたり、ごまかそうとする行為」が苦しみを生んでいるんです。
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ネガティブな感情にやってはいけないこと。その科学的根拠。
この記事の結論をここでお伝えすると、
嫌な感情に抵抗すればするほど、苦しみが増す
ということ。
このことは科学的に証明されています。
証明している研究結果は実はたくさんあるのですが、ここではわかりやすい2つの例「トロント大学のブレット・フォード氏とカリフォルニア大学アイリス・モース氏らが行った研究のうちの2つ」をご紹介します。
最初の実験は、1,003名の被験者を対象にしたもの。
被験者らは「自分が感じている感情を感じてはいけないと自分に言い聞かせることがある」などの問を提示され、これらにどの程度同意するかを評価するように指示されました。
その結果、ネガティブな感情を否定する人たちは、これを受け入れている人たちよりも精神的安定度が低いことが明らかになりました。
別の実験では、222名の被験者が2週間にわたって日常生活において嫌だと感じるような経験に対して発生した自分の感情を記録するように指示されました。
被験者らは、半年後に心理状態を評価されたのですが、
嫌な経験に対するネガティブな感情を避けようとした被験者には、嫌な感情を受け入れた人と比較して、半年後に不安症やうつ病などの感情障害の兆候が多く見られたんです。
いかがでしょうか。
嫌な感情、ネガティブな感情は
避けようとすると精神的な健康度が低下する。
逆に受け入れた方が精神的な健康度が高くなる。
ということです。
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「イライラしてはダメ」と思っているから「イライラ」し始めると余計イライラするんです。
「落ち込んだらあかん」と思っているから「落ち込んだ時に余計に落ち込む」んです。
嫉妬はダメな感情、と思っているから嫉妬し始めると余計苦しくなるんです。
ありのままの感情に抵抗することが、苦しみを生んでいるんです。
ただ、ありのままに受け入れてしまったほうが楽になるんです。
ネガティブな感情を受け入れる=そのまま表現する、ではない。
もちろん、嫌な感情を受け入れると言っても、それを相手にそのままぶつけましょうという話ではありません。
ただ、「それがあること」を自分の中で受け入れる、ということです。
こういった感情を適切に表現し、相手に理解してもらうということも時に大切なこと。そして伝える際に相手にどう表現するか、は様々なコツやポイントがあります。
が、こちらは本記事の趣旨とはずれるので、こちらの記事を参考にしてください。
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ネガティブな感情を受け入れると、余計ネガティブになる?
ところで、
「ネガティブ感情を認めたり受け入れてしまうと、もっと悪いことが起きるんじゃないか。」
「どんどんネガティブになってしまうんじゃないか。」
と思われた方もいるんじゃないでしょうか。
そうではないんです。
ただ、感情を認め、受け入れていくだけではそうはなりません。
さらに苦しく、ネガティブになっていくのは理由があります。
それは、私達の思考が勝手に暴走し、そのことが内なる苦しみを生む、ということ。
ネガティブ感情たとえばイライラで考えてみましょう。
感情を受け入れるとは、ただ「イライラ」が自分の中にある、と認めること。
一方で、思考の暴走とは評価判断したり、勝手に良くない物語を作ったりすること。
たとえば、
「イライラしてはダメなのに、私はイライラしてしまっている。こんな自分はだめだ。」
「イライラしていたらきっと悪いことが起こる。」
「こんなことでイライラしてしまうなんて、なんて未熟なんだ。これじゃあ私の人生この先真っ暗だ。」
「イライラしてることは相手にも伝わってしまっているだろう。きっと相手に嫌われる。」
こういった声が自分の中に生まれ、ネガティブな解釈をし、物語を作り、自分を責める。そしてこういった声がさらなる苦しみを生み出し、現実に影響を与えるんです。
もうおわかりですね。
嫌な気持ちをきっかけに、さらにネガティブになっていくのは、私達の思考が自ら作っていること。
逆に、どんな感情であっても評価判断せず、そこにあることを認め、受け入れていくことで、ネガティブな感情に振り回されにくくなるんです。
ネガティブな感情も大切な自分の一部。
大事なのは、まず、ネガティブと言われる感情を「嫌なもの」と思わないこと。
なぜなら、ネガティブな感情も、大切な大切な自分の一部。
それを否定し避けようとすることは、自分を否定すること。
そりゃあ、苦しみが増すのは当然ですよね。
嫌な感情、ネガティブ感情 を嫌がらない。避けようとしない。
自分の一部であり、大切なもの。
と思って、自分の内面をあるがままに受け入れていきましょう。
人間、イライラすることもあれば、落ち込むこともあれば、腹が立つこともあるし、嫉妬することもあるじゃないですか。
そういった人間の自然な心の動きを受け入れて肯定していくことで、苦しみは減るし、人との諍いはエスカレートしにくくなります。
それが、いわゆるネガティブと言われている感情たちへの対処の最初の一歩、取るべき心のスタンスになります。
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日常でネガティブ感情になったとき、どうすればいいか。
では、この心のスタンスから具体的にどうすればいいのか。
この記事を読み終わったあとのどこかの時点で「ネガティブな感情」になったときに、その気持を肯定してみてください。
たとえばイライラした時に、
「自分の中にイライラがある。」
と認めてみる。
「イライラしているから悪い」でもなく「こんなことでイライラして未熟だ。」でもない。
「ただ、イライラが私の中にある。そしてもちろん私の中にイライラがあっていい。」
と心のなかで唱えてみてください。
もちろんこれでイライラが解消するわけではありませんが、苦しさは減るはずです。
まずはここからスタートしましょう。
ネガティブ感情を受け入れられるようには、時間と労力が必要。
ちなみに、今まで避け続けていた感情を受け入れる、ということはかなり難しいこと。いきなり出来る人は少数です。
なので、あなたがネガティブな感情になった時に、それをすぐに受け入れられなくても大丈夫。安心してください。
自転車に乗れるようになったとき、車の運転ができるようになったときを思い出してみてください。時間がかかりましたよね?
ですが、乗れるようになると大いなる自由を手に入れられた。
感情へのスタンスを変えていくのも、これと同じ。
時間と労力はかかります。
しかし、感情へのスタンスが変わってくると、日常での気持ちが本当に変わります。
苦しみが減り、楽さと軽やかさがぐっと増して、毎日がさらに楽しくなります。
このことを心に留めつつ、いきなりできない自分に優しさと寛容さを持ちつつ、少しずつ意識していきましょう。
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ここまで読んでくださった あなたに祝福の光が降り注ぎ、ますます輝く毎日になることを心から祈っています(。-人-。)
河野雅(こうのまさし)@輝くヒントでした。
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【参考記事】
本記事でお伝えしたトロント大学の研究結果の概要が以下のリンクから閲覧可能です。(英語サイト)