誰しも人に褒められたり、認められたら嬉しいですよね。
ただ、この気持が強すぎて、
「褒められるために(自分が本当にやりたいことではないのに)頑張りすぎてしまう。そして疲れる。」
「認められること・褒められること自体が目的化している。」
「認められない・褒められないと深く落ち込む。傷つく。やる気がでない。ふてくされる。」
というような状態になると本人も周りも苦しくなります。
これは承認欲求が強すぎる状態です。
本記事では、この状態がなぜ起こるのか。そしてどう対処すれば良いのかを解説します。
過度な承認欲求は「子供のニーズ」が原因。
ニーズとは、欲求のこと。
人間のニーズは、子供時代と成熟した大人でその中身が大きく異なります。
子供のニーズは、「受け取ること。」
認められたい。愛されたい。注意を向けてほしい。聴いてほしい。etc
などなど。子供は提供されるものを受け取ることで満たされます。
別の言い方をすれば、子どもは一人では生きられないため、「受け取る」ことで生きていける存在。子どもは「受け取ること」が仕事とも言えます。
一方、大人のニーズは「与えること。」
認めたい。愛したい。安心な環境を提供したい。貢献したい。注意を向けたい。聴いてあげたい。etc
社会に出て仕事などを通じて貢献していくのも「与えるニーズ」にもとづいています。
人間は心の成長に伴い、本当のニーズがTake(受け取る)からGive(与える)に移り変わっていくのです。
子供は承認欲求が適度に満たされないと、大変なことになります。
本当に必要なものが満たされなくて、深く傷つき、激しく落ち込みます。子供にとってはニーズ(本当に必要なもの)が得られないことは、健全な生存を脅かされる=死ぬくらいの危機なのです。
こういった子供時代を過ごした場合、大人になっても私達の内側に存在する満たされなかった子どもが「褒めてくれ!」「認めてくれ!」「注意を向けてくれ!」「聴いてくれ!」「愛してくれ!」と叫び続けます。
結果、大人の私達の振る舞い・言動に大きく影響を与えるのです。
これが過度の承認欲求があらわれる理由です。
※子供のニーズ・大人のニーズの概念はパスワークという心理療法と悟り(スピリチュアル)を統合させた教えを参考にしています。より詳しく知りたい方はぜひ書籍をお読みください。
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当然、大人も褒められたい。認められたい。
もちろん、成熟した大人にも承認欲求(受け取りたいニーズ)はあります。
褒められたい。認められたい。優しくされたい。愛されたい。注意を向けられたい。話を聴いてもらいたい。etc
ただ、大人の場合、そのニーズとの付き合い方や望む強さが違います。
まず、大人の健全なニーズは与えるニーズなので、受け取りたいニーズ(褒められたい)を満たそうとするためだけに頑張ったりはしません。
さらに、認められなかった(褒められなかった)際にその痛みの度合いや影響が子供とは大きく異なります。
大人は「ああ、頑張ったのに認められなかった。悲しいな。」と心が痛むことはありますが、そのことが一大事になったり完全にやる気を失うことはありません。そもそもそれを目的に頑張っているのではありませんから。
なので、子供のニーズがある程度満たされて大人になった人たちは、過度な承認欲求に振り回されることはありません。
一方で、子供は先に述べたとおりニーズが叶えられないと大きなショックを受けたり、激しく落ち込んだり取り乱したり、やる気を失ってしまいます。
最初の一歩は「過度な承認欲求の仕組みを理解し、認める」こと。
1.もしあなたが過度な承認欲求を持っている場合。
もしあなたが強い承認欲求を持っている場合。
ここまで書いてきたとおり、あなただけが理由で生まれた「心の癖」ではありません。主に親や養育者との関係の中で生まれてきたもの。
あなたは悪くありません。間違ってもいません。
それどころか、認められたい(必要なものを手に入れる)ために、とても頑張ってきたのではないでしょうか。
また、あなたの親や養育者も(ほとんどの場合)精一杯生きていたし、あなたを認めなかったのには様々な理由があるでしょう。なので親には親の言い分があり、親を責めても何も解決はしません。
あなたの大切な人が、必要なものを提供してくれなかった。
これはとても残念で悲しいことですが、厳然たる事実です。
大切なのは、まずはこの痛い事実を受け入れること。
「私の親(養育者)は私のことを、私が願う形では認めてくれなかった。」
「結果、わたしの内側には、本当に必要だったものが満たされなくて、傷ついた子どもがいる。」
「必要なものを手に入れるために、私は頑張ってきた。」
このことを認めて、少しずつ受け入れていきましょう。
痛い事実を受け入れていくためには、沢山の涙を流す必要があるかもしれません。
しかし、少しずつでもこの事実を受け入れていくと自分に対して優しくなれます。
仕組みを理解し、事実を受け止めて認めることが「過度な承認欲求」に振り回されなくなっていく最初の一歩です。
2.あなたのまわりの人が過度な承認欲求をもっている場合。
こちらも基本は同じです。
あなたのまわりにいる「その人」は、子どもの頃に必要だったものが満たされなかったのです。
なので、他者の過度な承認欲求に直面したら、
「ああ、このふるまいは子どものニーズが満たされなくて、内なる子どもが活発化している状態なんだな。」
「この振る舞いは育成環境で培われたもので、この人が悪いわけではない。」
「この人は子ども時代にとても傷ついた経験がある。そこから生まれた癖なんだよなぁ。」
「そして、きっとこの人はこのニーズを満たすために、ずっと頑張ってきたんだろうな。」
このように考える「思考の癖」をつけていきましょう。
また、あなたに心の余裕があるときは、相手が必要としているもの=承認の言葉 を投げかけてあげるのもいいでしょう。
その際、相手がその言葉を受け取るか受け取らないかにはこだわらないのがポイントです。
私もそうだったのですが、「欲しくて欲しくてたまらないのに、いざ承認してもらうと受け取れない。」ということが起こったりするからです(笑
いずれにせよ、その方の過度な承認欲求は「満たされなかった子どもが騒いでいる」という認識で見てあげましょう。
そういう眼差しで見てあげることで、少しだけ優しくなれます。
内なる子どもを満たしてあげるために、心の旅路のガイド=コーチやセラピストを一定期間雇う、というのもおすすめです。
私は自分がコーチングを受けることで、「むちゃくちゃ騒いでいた内なる子ども」がとても穏やかになってきています。
「目標達成のために前に進むだけではなく、様々な内なる声を大切に聴いていき、統合していく。」という私のコーチングスタイルはクライアントさんからとても好評をいただいています。
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また、私たちはこのような心のメカニズムをきちんと教わることなく大人になり、そして苦しんでしまいます。
まずはどういう仕組で心が苦しくなったり、逆に楽になったりするのかを知っていることが大切です。
「人の心理や精神的な成長に興味があるという方」には、価値ある情報をYouTubeでも発信していますので、ぜひ御覧ください。
その上で、日常でどのようにこの過度な承認欲求に対処し、かつ内なる子どもをどうやって満たしていくか。
以下の「後編」で過度な承認欲求の低減の仕方を具体的にお伝えします。
※作者注:本記事では「承認欲求が起こる仕組み」をお伝えすることがメインのため、「褒める」と「認める」という言葉を同義で使っています。が、実際には「褒める」と「認める」は意味が異なり、ある考え方では「褒める」ことのデメリットが指摘されています。
興味を持たれた方は「褒める デメリット」などのワードで検索してみてください。