「旅行に一冊だけ持っていくとしたら、どんな本がオススメ?」
と問われたら、私は即答でこの本をオススメします。
「旅をする木」
1996年に、カムチャツカで熊に襲われ他界した、写真家、星野道夫氏のエッセイ集です。
なんで旅に星野道夫さんの「旅をする木」なのか。その理由。
エッセイ集なのでどこからでも読めて、移動が多い旅にはピッタリ。
そして、文庫本で出版されているので、携帯にも便利(笑
電子書籍リーダーをお使いの方は関係ないですがが(^_^;)
そういう現実的な理由もあるんやけど、一番はやっぱりこの本の中身。
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「旅をする木」の何が素晴らしいか。
自然、そして地球の美しさ。
人という存在、人生の素晴らしさ。
さらに、自然や人の命の逞しさと、
時に驚くほどの脆さ、儚さ。
これらが、星野氏独特の暖かい筆致で描かれています。
読むと、じんわり心が暖かくなり、潤い、豊かになっていきます。
同時に、失われていく様々な命の物語に触れ、切ない気持ちや、悲しみも沸き上がってくるでしょう。
でも、切なさや、悲しみも、生きる前向きなエネルギーに自然と変わっていく。
さらに、気づいたら「自分はどう生きていきたいのか。」といった本質的なことを考え出している。
こういったインパクトを読者に与えるのが、この本の、そして著者である星野道夫さんのスゴイところやと思います。
宝石のようなエピソード満載の「旅をする木」。
この本は宝石のようなエピソードが満載です。
エッセイから3つ抜粋してご紹介しますね。
星野さんの友人が忙しい仕事の中、アラスカを訪れてザトウクジラの群れに出会い、目の前でクジラが海面から飛び上がるところを目撃したエピソード。
ずっと後になってから、彼女はこんなふうに語っていた。
「東京での仕事は忙しかったけれど、本当に行って良かった。何が良かったかって?それはね、私が東京であわただしく働いている時、その同じ瞬間、もしかするとアラスカの海でクジラが飛び上がっているかもしれない、それを知ったこと・・・(中略)」
ぼくたちが毎日を生きている同じ瞬間、もう一つの時間が、確実に、ゆったりと流れている。日々の暮らしの中で、心の片隅にそのことを意識できるかどうか、それは、天と地の差ほど大きい。
旅をする木 文庫本版 P123より抜粋
二十一歳のときに山で親友を亡くされた星野道夫さんが思ったこと。
僕はTの死からひたすらたしかな結論を捜していた。それがつかめないと前へ進めなかった。一年がたち、ある時ふっとその答えが見つかった。何でもないことだった。それは「好きなことをやっていこう」という強い思いだった。Tの死はめぐりめぐって。今生きているという実感をぼくに与えてくれた。
旅をする木 文庫本版 P77より抜粋
アラスカの氷河の上で、降るような星空のもと、友人とかわされた会話。
「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろ。もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうに伝えるかって?」
「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いて見せるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな。」
「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって・・・・・その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって。」
旅をする木 文庫本版 P119-120より抜粋
どうですか?なんか、深いところにぐっときませんか?
旅と言わず、ふとしたときに読み返したい、モーレツにオススメの本です!
「ええなぁ。」と思ったらお友達にもシェアしてあげてくださいね^^
ここまで読んでくださった あなたに祝福の光が降り注ぎ、輝きがみちあふれることを心から祈っています(。-人-。)
河野雅(こうのまさし)@輝くヒントでした。