ーーそこでコーチとしての意識が変わったんですか?
そうですね。これはいけるんちゃうかと。
そのためにも、そういった先達から学んでいこうと。
で、当時の僕は、うまいこといってる人が教えてくれる「やり方」や「方法論」も大事やと思ったんですが、それよりご本人も気づいてないようなクセとか考え方とか、そっちが大事やと思ってました。
ご一緒させていただいて食事したりお酒飲んだりするだけなんやけど、聴いてると「あぁ、なるほど。」「そうですかぁ。」の連続で。
「こういうとき、どんな考え方しはるんやろう。」
「こういう状況の時、どんな反応しはるんやろ。」
そんな問いをもちながらずっと見てましたし、質問もよくしてましたね。
ーー例えばどんなことを学ばれましたか?
たとえば、何か大切な仕事を先方から断られた、とします。
うまくいってる人たちは
「相手が選択したんやな。」
と心から思ってはる。
うまくいってない人は
「世界中の人から断られた。」
ようなダメージを受けはる。
受け取り方一つでその先の未来が変わりますよね。
ーー確かに。頭だけではなく、それを心から思っておられるんですね。
他には、「コーチとして自由に生きてるけども、誰かに会いに行くときにはきっちりネクタイ締めていかはる。」とか。
冒頭の「コーチングを売るんじゃなくて、自分を売れ。」も彼らの中のお一人からもらった言葉です。
みなさん、当たり前のことを当たり前にキッチリやってはった。だから、それをコツコツ真似していきました。
しかもその人がうまくいったことをそのままやるんじゃなく、自分なりに消化したり、ご本人も無自覚にやってはることに気づいて自分なりのスタイルにしていったり。そういうことをずっとやってましたね。
Contents
プロコーチとして、自分の時間単価を決めなさい。
ーーその積み重ねが今につながっているんですね。
そうだと思います。あと、印象に残っていることは、
「君は1時間いくらで働くの?ちゃんと考えなさいよ。」
と言われたこと。
なんだって定価はついてるじゃないですか。「新人が作ったから100円の定食です。」なんて無いですよね。
だからまずはしっかり定価を考える。あとは、1年間で作りたい売上と単価。これも関係ありますよね。
それをじっくり考えて、
「1時間で2万円は、コーチングというフィールドでキープしよう。」
と思うようになりました。
その前は自分のコーチングに金額をつけること、すごい怖かったですけどね。ずっとサラリーマンをやってたから。
でも、時間単価という考え方を持ってからは、ぐっと金額を上げて今言った額でやるようになりましたね。
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研修の仕事から本当にやりたい仕事=コーチングの仕事へシフト。
ーーその後はどうなっていったんですか?
CTIジャパンの上級コースが終わったのが2008年の3月で、2008年6月にCPCC※を取得。
※河野注:CTIジャパンの認定資格、「Certified Professional Co-Active Coach」の略称です。
その頃からもともとやっていた仕事の柱である企業研修と、コーチングについて考えるようになりました。
研修講師は自分にとって出来ることやし楽しいけど、「ほんまにやりたいことか?」と問われると、「6割くらいかな。」という答えなんです。
やってるときはほんまに楽しいし、たくさんの人に関わらせてもらってありがたいんやけど、終わって2週間もしたら「あれってなんやったっけ?」みたいになることがあるんですね。
それは自分としては寂しいしもったいないと感じるんです。
そのバランスの中で「きっちり継続して応援できるコーチングをほんまはもっとやりたいんちゃうの?」と思うようになりました。
その思いに素直になって、少しずつ、少しずつ比率を変えていきました。
ーー最初からコーチングと研修の比率を逆転させるつもりだったのですか?
明確にそういう思いを持っていた訳ではないのですが、あるとき思い切って、ある研修をお断りしました。
個人でやっていて仕事を断るって、むちゃくちゃ怖かったですけどね(笑
その一歩を超えてしまったら、あとは気持ちが入る度合いが少ない順で少しずつお断りするようになって、コーチングを増やしていきました。
今やらせてもらっている研修もあるんですが、どれも長い付き合いで継続的に関われて、受講者さんの変化が実感できるものばかりです。
ーーそして、冒頭おっしゃったコーチング8割に至るわけですね。
明確にコーチングのほうが多いな、と思うようになったのはここ4~5年ですね。ある意味自分の中で「こっちがオモロイ。」と確信が芽生えて、それに素直に従った結果かな、と思っています。
ーー「研修を断ってまで。」というお話をお聞きすると、それだけコーチングやクライアントさんへの思いが伝わってきます。
コーチングやるときは、
「どれだけクライアントさんの可能性を信じられてるか。」
「ほんまに勇気づけられてるか。」
「クライアントさんがほんまに望む方向に実生活・人生が変わってるか。」
「コーチングの時間でどれだけその人の人生の角度がほんまの一度でも変わるなり、30cmでも足が前に出るなり、そのお手伝いが自分ができてるか。」
こんなことを常に自分に問いながらやってますね。
「コーチに話聴いてもらって、ええ時間やったわぁ。」で終わらせる、というのもありかもしれませんが、それじゃ人生変わっていかない。
なので、行動の後押しは僕は大好きですね(笑
コーチングのクライアント獲得は、多くのご紹介から。
ーーコーチングのクライアントさん獲得のために何をされていますか?森山さんはホームページもブログもお持ちではないですよね?
ありがたい事に、僕はご紹介に助けられてるんですよ。
最初の頃はこちらから直接声をかけさせてもらう、ということをやっていましたが、だんだん紹介していただけることが増えてきて、ここ3~4年を振り返ると、ご紹介して頂くことがほんまに多くなりました。
ほんまにクライアントさんたちに感謝するところなんですが、ちょっとええ様に考えて、きっと僕の関わりで価値を見出してもらってるから、ご紹介していただけるんやないかなと勝手に思ったりもしています(笑
ほんまのこと言うと「ほんまにありがたいな~。」という気持ちでいっぱいです。
あと面白いのは僕のコーチングを受けたこと無い人やのに誰かを紹介してくれはる人もいるんですよ。「この人、コーチという仕事してはって。コーチングええらしいで。」と。
これも結局、コーチングを売ってるんじゃなく、自分を売る、という意識があるからご紹介してもらえるんかな、と思ってます。
で、ご紹介いただいた方にお会いしたときも、「コーチングは魔法の杖じゃないですよ。ただ、もしお役に立ちそうなら全力で応援させてもらいます。」という気持ちを正直にお話させてもらいます。
でも、コーチングがその人にハマった時はものすごい大きなインパクト。ほんまに人生ガラッと変わりますからね。それも含めてお話させてもらってます。
ーー紹介してもらえるようにどんな工夫をされていますか?
いや、自分では特に何もしてないんですよ。
そうですねぇ。。あえて「意識的に工夫してること」を言うとするなら、一人ひとりの関係をきっちり積み重ねること。
これなくして継続はないし、紹介は無い。自分自身も研鑽し続ける。あぐらをかかない。
これが大事やと思いますわ。
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プロとしてコーチングの質を高めるために、「学び続ける。」「コーチングを受け続ける。」
ーーでは、その「自分自身の研鑽」については何をされていますか?
2つやってます。
一つは、コーチングのトレーニングをし続ける。
僕はCTIジャパンというところでコーチングを学んだので、そこが提供している卒業生向けのサービス、練成会(CTIで学んだ人向けの講座)や、コーチングのワークショップのアシスタント※に出るようにしています。
※河野注:CTIジャパンのコーチングワークショップでは卒業生がアシスタントとして入り、場をサポートするという仕組みがあります。
守破離の「離」はいいですけど、完全に別ものになるのとはちがうと思うんですよ。これは、大事やと思います。
二つ目は、自分でもコーチをつけてます。
自分がちゃんとコーチングのクライアント体験をし続ける。コーチングが自分が売りたいほどええ商品なんやったら、まず自分で買うのが大事やと思います。
さらに、自分でコーチングを受けてないと、安全領域でおさまってしまう。「コーチ自身が人生においてほんまに挑戦してる?」ということです。
この2つも当たり前のことかもしれませんが、きっちりやってる人、意外と少ないんちゃうか、という印象ですね。
ーーお聴きしていると、全てにおいて当たり前のことを当たり前じゃないくらいキッチリ積み重ねておられる印象を受けます。
自分ではわかりませんけどね。でもどんな仕事でもそこが大事やと思います。
プロのコーチと、リーダーシップ。
ーープロのコーチの方、コーチを目指している方にオススメの情報などはありますか?
CTIジャパンのリーダーシッププログラムはおすすめですね。
僕自身はこのコースに参加して、コーチとしての僕の関わり方に変化がうまれました。
僕ね、コーチはリーダーやと思ってるんですよ。
コーチングなので「相手の中に答えがある。」は大前提です。
大前提なんですが、
「あなたの思ってる以上のものをやりましょう。あなたはもっと大きい存在でっせ。」
と言い続ける存在でもある。
これがコーチだと思うんですよ。これって、コーチでもあるけど、リーダーでもある。
そういうあり方のコーチで、リーダーとしてクライアントさんの前に立ち続ける事。だから、「コーチはリーダーたれ。」と思ってます。
なんでこういうこと思うようになったかと言うと、僕は自分のコーチからずっとこのあり方で関わってもらって、「自分より大きな自分を作ってもらった。」と思ってるんです。
もう感謝しか無いんですよ。
たとえば冒頭の半農半コーチも、プロの農家さんからしたら何でもないことかもしれへんけど、僕にとってはすごいチャレンジやった。
半農半Xという塩見直紀さんの本を読んで、「あぁ、ええなぁ!」と思ったんですが、そのまま本棚の肥やしですよ(笑
そのまま本だけ読んで終わってたとこを、コーチに背中を押してもらって、実生活の中に少しずつチャレンジしていった。
今では僕の農業への取り組みの様子を見て勇気づけられる人が増えてきてます。それが出来たのも、自分より大きな姿を見続けてくれたコーチ=僕のリーダーのお陰やと思ってます。
CTIのリーダーシッププログラムを必ず受けましょう、という話ではないですが(笑)、プロのコーチとしてやっていきたい方は、「コーチでもあるけど、リーダーでもあるって?」という問いを持ってみはったらどうやろう、と思います。
ここでは紙面にも限りがあると思うのでこれ位にしておきますが、興味ある方は是非一声かけて下さい。僕にとっての「プロのコーチと、リーダーシップ」、たっぷりとお話しさせていただきます(笑
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コーチングを仕事にする、専業プロコーチになる肝は「2つの脳みそ」
ーーそんな森山さんが思われる「コーチングを仕事にしていくための肝」はなんですか?
僕はね、「2つの脳みそ。」を持つのが肝やと思ってます。
2つの脳みそとは、社長の脳みそとコーチの脳みそ。
多くの人が会社員=雇われてた状態から個人事業主とかになってコーチをしていく人が多いと思うんです。
特にコーチングを学んだ人たちは「想い」や「願い」で会社を辞めはる人が多いように思っていて、それだけじゃあかんでしょ、と。ちゃんと、「経営」という柱を持ちましょう。
「この商品はいくらで売るか?」
「いくらあったら生活キープできるの?」
「収入の担保あるの?」
こういった、社長をやっていくなら当たり前すぎることをきっちり向き合って考えて行動していく。「経営者感覚」を大事にする、ということです。
ーー森山さんは経営者感覚を具体的にどうやって身につけられたのですか?
やっぱり先輩方の背中を見て、積極的に盗んでいった、というのが一番大きいですね。
社長さんの脳みそとコーチの脳みそ。両方持つために本読んだり講座を受けるのもいいと思いますが、先輩方の所作から学ぶ、盗む、という感覚。
そのために既に自分が望む状態を実現してる先輩方とのご縁を自分から作りに行く、一緒にいさせてもらう、というのも大事やと思います。
ええ仕事=コーチングで社会に好循環を生んでいこう。
ーーでは、最後にコーチングを仕事にしたい人、起業・独立したい人にメッセージをお願いします。
僕、個人的な意見として正直に言うと、やっぱりコーチとしてうまくいく人といかへん人はいると思うんですよ。
ただ、現状はうまくいきそうな人まで消えていってる感じがしてすごく残念なんです。
「喰えるコーチがもっと増えて欲しい。そのために何かできへんかなぁ。」と思ってますね。このインタビューをお受けしたのも、そういう気持ちがあったからなんです。
喰えるコーチが増えて欲しい、というのは、そんな素敵なコーチがぎょうさんクライアントさんを持ってる、ということ。
ということはそれだけ多くの人の人生が変わってる、良くなってる、いうことですよ。
そしたらもっと世の中も生きやすくなってる。
さらにコーチ自身の魂も歓んでる。
こんな好循環なええ仕事、なかなか無いと僕は思ってるんです。
だから2つの脳みそを鍛えながら使いながら、いっぱい失敗も重ねて、喰えるコーチになっていってほしいです。
今、関西でCTIジャパンでコーチングを学んだ人たちを中心に、パーソナルコーチやシステムコーチとして活動する人・活動したいと思っている人を応援するグループを細々とではありますが立ち上げています。
興味があったり、僕に何かできることあったら、声をかけてください。
ーー今日はありがとうございました。
———<インタビュー本文・ここまで。>———
その他:コーチングを仕事にするための関連情報(リンク)
●CTIジャパンの森山さんの紹介ページ:森山さんはホームページもブログもお持ちでないので、森山さんに連絡をしてみたい方は、こちらからどうぞ。
●CTIジャパン:森山さんがコーチングを学ばれた、コーチングトレーニングスクール。ICF(国際コーチ連盟)認定のプログラムを提供しています。
●リーダーシッププログラム:同じくCTIジャパンが提供しているプログラム。
●株式会社ウェルビーイング・ジャパン:森山さんがコーチ駆け出しの頃お世話になられた会社。
●森山さんオススメの書籍(あくまで一部です。)
半農半Xという生き方【決定版】:塩見直紀著
自分を信じて生きる-インディアンの方法:松木正著
人は誰もがリーダーである:平尾誠二著
聞き手:河野雅(こうの まさし)プロフィール1972年、京都府京都市生まれ。熊本県南阿蘇村在住。ライフコーチ。1995年、立命館大学理工学部卒業。 建設業界でコンサルタントとして高速道路の計画・設計などに従事。 2003年にCTIと出会い、2006年独立。 自らの内なる声に従い、10年間過ごした東京から、2014年に阿蘇山のふもと、熊本県南阿蘇村に移住。阿蘇の大自然を感じながら、人生を変容させるコーチングを提供しています。 株式会社みちあふれる輝き代表取締役 CTIジャパン上級コーストレーナー 米国CTI認定 プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ(CPCC) 2006年取得 国際コーチ連盟認定プロフェッショナルコーチ(PCC)2011年取得 |
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