アウェアーズ合同会社代表 溜 香世子1971年生まれ。 津田塾大学 国際関係学科卒業後、貴金属販売会社の営業、外資系企業などを経て、役員秘書に。 29歳で、会社を辞めてフランス・リヨンへ留学。 30歳で帰国。その後結婚。31歳で子供が生まれてから再就職活動。 再び外資系企業の役員秘書となるが、早朝から夜までのワーキングマザー生活のなかで疲れていく。 「何のために働くか」「何のために生きるか」を問う日々。 37歳で偶然コーチングと出会う。また、ヒプノセラピー、ゲシュタルト療法、などの心理カウンセリングへの造詣も深い。自他共認める「魂オタク」。 アウェアーズ合同会社 代表 ◆資格等 米国CTI認定 プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ(CPCC) 2011年取得 国際コーチ連盟認定プロフェッショナルコーチ(PCC)2014年取得 ヒプノセラピスト・催眠療法士(ABH/ NGH) 日本医療催眠学会正会員 |
専業プロコーチ・インタビューシリーズの背景や意図はコチラの記事を御覧ください。
———-<以下・インタビュー本文>———-
ーーまずはコーチングの仕事の状況を教えてください。
契約してくださっているクライアントさんは、多少の前後はありますが常時20~30人くらいです。
頻度は月に一回の方や二回の方。その方のペースで契約させてもらっていて、1回1万円台~3万円のセッションを月に40から50セッションくらい提供しています。
コーチングの収入が全体の7割位です。
コーチング以外の仕事としては、ヒプノセラピーの個人セッション、プロコーチ塾などのセミナーや、企業でのワークショップの仕事、コーチの紹介サイト「Life with coach」などをしています。
ーークライアントさんはどういう方が多いですか?
男女比はだいたい半々くらいで、主に経営者やエグゼクティブの方、それ以外にもコーチ、コンサルタント、教育関係者、医療従事者、福祉関係者、アスリートやパフォーマー、アーティスト、作家さん、水商売の方もいらっしゃいます。
ーーかなり幅広い対象に向けてコーチングをされていますね。
もともとは、私から「こういう方にコーチングを提供したい。」というのはありませんでした。
私のコーチングには「成人の意識の発達理論」のフレームワークを取り入れているんです。
「どの意識の発達段階に関連するテーマが語られているのか」「どんなアプローチをしたら有効なのか。」
主にそこに聞き耳を立ててコーチングをしているので、「どんな仕事をしているか。どんな業界にいるか。性別や年齢。」などは私にとってあまり関係がないんです。なので多様なバックグラウンドの方に来ていただいているのかな、と思います。
ただ、今は割と経営者など多くの人に影響力がある方、いろいろなフィールドにおけるコアな方へのコーチングが増えています。
私も今はそういう影響力の大きい方々へどんどんコーチングを届けたいと思っています。
お申し込みは、クライアントさんから申し込んでくださったり、ご紹介いただいたり。全体の比率としては、ご紹介が4割位。
それ以外の方は、私がブログを書いたりFacebookでつぶやいたりしているので、そういった発信を読んでピンと来た方が申し込んでくださいます。
ーーそんな多様な方々へのコーチング。どんな想いでされているんですか?
私はどちらかと言うと、お金を稼ぐためというより、コーチングをやること自体が歓びなんです。
クライアントさんの変容にともにいさせてもらうと、本当に魂が歓ぶんです。
逆にコーチングしないと窒息していく感じがあるんです。いわば、「息を吸うように」コーチングをしていますね。
少し大げさかもしれませんが、コーチングが無いと生きていけない感じです(笑
Contents
コーチングとの「魂が震える」出会い。
ーーでは、そんな現在に至る物語をお聴かせください。
コーチングと出会ったのは2008年です。当時は秘書の仕事をしていたのですが、子どもを授かり会社から産休・育休をいただきました。
自由時間がたっぷりあった私は、毎日主にビジネス書を一冊読んで感想やまとめをブログに書くということをしていました。その時に、「コーチング」というキーワードに出会ったのです。
秘書という仕事に閉塞感を感じていたし、何かスペシャリストになりたいという思いもあり、とあるコーチ養成機関に通い始めました。
一年ほど学んで、いざ実際にコーチングをやってみたら、単なるおしゃべりにしかならなかったんです(笑
「これではいけない。」と思っていたときに、たまたま出会った方にCTIジャパンを紹介いただいたんです。
その方から、
「CTIジャパンのコーチングはね、立ったり、走ったり、寝転がったりしてコーチングするんだよ。」
と教えていただいて、「なんじゃそりゃ。」と(笑
で、興味を持って、2009年の末頃に基礎コースを受けました。
そこでワークショップリーダーのデモンストレーションのコーチングで、クライアント役の参加者の方が涙するのを見て、鳥肌が立ちました。
「絶対にこれができるようになろう。」と思いました。
魂が震えたんです。
その後、多少の紆余曲折はありつつ「絶対出来るようになる」という思いを持ち続けて応用コースを修了し、2011年初頭まで働きながらCTIジャパンの上級コースを受講。
その時期、実は下の子どもは授乳期間で、ヘッドセットをつけてトレーニングの電話に参加したり実際にコーチングをしながら授乳することもありました。
当時自分がクライアントとして受けたコーチングセッションの録音を聴き直して、何か変な音が入ってるなぁと思ったら、子どもがおっぱいを飲む音だったという(笑
ーーすごい根性ですね。大変ではなかったですか?
何も考えずにやることに集中していました。忙しかったのが逆に良かったんだと思います。
同時に、秘書の仕事には熱が入らない自分を感じていて、2011年の2月末に会社を辞めました。
上級コース中でした。
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それまでの人生経験で培った、根拠のない自信で前に進む。
ーー思い切りましたね。
もちろん怖かったですが、私にとってはそれほど思いきりでもなかったんです。
というのも、それまでに転職を5回していましたし、それ以外にも婚約破棄など一度ならず経験しています(笑
親にも知らせず外国人と強引に結婚し、まったくうまくいかなくて6か月で破局を迎え、「人生は終わった。」くらいに思ったり。
同棲だったり、道ならぬ恋に突き進んだり、恋愛に関して数々の「濃い経験」もしています。
でも、泣いたりのたうち回ったりしながら、毎回そこから何とか立ち直ってきているので、何があっても、自分は何も失わない。失っても大したことない。自分でとり戻せる。という根拠のない自信があるんですね。
ーーそれは溜さんのとてつもないリソースですね。
そうですね。経験するんだったらとことん、極限まで体験してやろう。というのがあります(笑
で、仕事を辞めたら、すぐ3.11に直面。
何かもう世界が違う次元に入った気がして、企業に戻るのではなく自分なりに生きてみようと思って、一心にプロコーチを目指しはじめたんです。
最初の試練。クライアント獲得の壁に直面。
ーー目指しはじめて、どうなりました?
まずは2011年8月にCPCC※を取得しました。
※河野注:CTIジャパンの認定資格、「Certified Professional Co-Active Coach」の略称です。
が、その前後でいきなり壁にぶちあたりました。
クライアントさんを増やしたい!と思ってホームページも作ったんですが、それだけでは全然お申込みが無くて。
一回千円や三千円のクライアントさんが数人いて、秋くらいまで月収数万円がずっと続いたんです。
この頃までは「そのうち何とかなるだろう。」と馬鹿みたいに思っていて(笑)、空いた時間はコーチ仲間同士のコーチングの練習で埋めていました。
ただ、いつまで経ってもクライアントさんが増えない。さすがに2011年末くらいに「これはまずいんじゃないか。」と思いはじめました。
そこで、今更なんですが、
「そもそも専業でコーチをやっている人、本当にいるの?」
という疑問がでてきたんです。
それでインターネットで検索したら、珠帆美汐(たまほみしお)さんのホームページをたまたま見つけて、これは当時の記述ですが「北海道の赤井川村というところに住んでいて、コーチングで月収30万円以上収入あります。」みたいなことが赤裸々に書いてあったんですね。
参考:珠帆美汐さんのwebサイト:珠帆美汐のスピリチュアルコーチング
で、「この人に話を聴きたい。」と思って、今思うと不躾なメールを珠帆さんにいきなり送ったんです。
「CPCCを取得したんですが、クライアントさんも全然増えず、今崖っぷちです。」って。
そしたら、ちょうどその週に東京出張ということで、会ってくださったんです。
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ブログやFacebookでクライアント獲得へ。
ーーご縁ですね。
本当にそう思います。
羽田空港で2時間くらいお時間いただいて、ブログの書き方とか、コーチとしてスタートアップに必要なことを教えてくださったんです。
ーーどういうポイントを教わったんですか?
ブログを書くなら、「とにかく苦労話を赤裸々に書きましょう。」と言われました。
私のホームページも見てくださったんですが、
「綺麗すぎて全然伝わってこない。人は相手の弱いところや、ドロドロのところに惹かれるから、もっと赤裸々に書きましょう。」
とアドバイスをいただきました。
で、赤裸々に自分のことをいろいろ書きました。「魂オタクである。」とか(笑
そういうことを発信しはじめたらポツポツ、クライアントさんが来てくださるようになったんです。
ホームページにも書きましたし、ブログの方には自分が書かずにはいられないことをどんどん赤裸々に書いていきました。
そういうの、読んでくださる方がいるんです。
後々コンタクトしてくださった方が、「あの時のあの記事がよかった。」と仰ってくださることも少なくないです。
参考:溜さんのブログはコチラ:心の琴線をふるわせて生きよう
ブログのトーンを変えだしたのが2011年の年末。
そして、翌年の春にはクライアントさんが結構増えてきて、夏くらいにはお陰様で20人くらいになりました。
ーーそれはすごい。珠帆さんへの突撃インタビューがターニングポイントですね。
そうですね。本当にありがたいご縁でした。
ご縁と言えば、当時で印象に残っているエピソードとして、コーチングの勉強会で研修などで活躍されている本間直人さんとご一緒したんです。
そのときに優しい笑顔で、「何の根拠もないんだけど、君みたいな人は大丈夫だよ。」って言われたんです。
当時の私からすると、大先輩の本間さんからのその言葉は、すごく自分の心の支えになったんです。
それ以外にも、多くの人との出会いや言葉が支えになりました。
ーーその頃のセッション価格はおいくらでされていましたか?
当時はクライアントさんを増やしたかったので、キャンペーンで3,000円で提供したりもしましたが、基本は一回5,000円~7,000円でした。
クライアントと出会うための、溜さんなりの表現のポイントは2つ。
こういった経緯なので、マーケティングの勉強もしてないし、どんな人にコーチングを提供したいかターゲットを意図的に絞ったりもしてないんです。
ただ、自分の赤裸々な部分をブログやFacebookでだだ漏れさせて、そこに響いた方が主に来てくださっていました。
ーーそれで多様なクライアントさんが沢山いらっしゃるんですよね。溜さんなりの表現のポイントは何だと思われますか?
一つは、私、コーチングもそうですが、書くことも止めちゃうと生きていけない感じがあるんです(笑
自分の中で溜まってくると発信せずにはいられなくなる。その感覚を大切にしています。
もう一つは、「私自身がコーチングなどを受けたり、日々の出来事のなかで、実際に内側で気づいたこと。」
そういうものを言語化してブログやFacebookに書いています。
自分自身の抱えていた問題がクリアになっていった話であったり、人の意識の器が拡がるってこういうことだよね、とか。
そういうものを読んで楽になる。という方がいらっしゃるんです。
読むコーチング、読むセラピー、と仰ってくださる方もいます。
私の生き方みたいなものが伝わって、
「この人ならわかってもらえるんじゃないか。」
と思ってくださる方がいて、実際にコーチングを受けたくなって申し込んでいただく、というのが一つの流れとしてあるようです。
なので、私は大盤振る舞いでばんばん出しちゃってるんです(笑
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二度目の試練。コーチングをすればするほど苦しくなる。
ーーその後、どうなっていったんですか?
クライアントさんが増えたのは嬉しかったんですが、その後、実は苦しくなっていったんです。
沢山の方々コーチングを提供する中で、セッションが「うまくいかない。」と感じるケースに数多くぶつかりました。
コーチとして一番苦しかった時期ですね。
「自分の本当の気持ち」や「何を感じているか」といったことを言語化出来る人って、そんなに多くないと思うんです。
クライアントさんが扱いたいテーマ。話したいこと。それをそのまま「じゃあ、それを話すんだね。」とコーチングを始めちゃうとうまくいかないことが多い。何か上滑りしたり、モヤモヤして終わったり、言っていることと現実が結びついていなかったり。
クライアントさんは本当に一生懸命なんですが、私としては消化不良な感じがするコーチングが続いてしまって、
「わたし自身が駄目なんじゃないか。」
「コーチとして向いてないんじゃないか。」
と思い悩むようになり、ひどい時は少し寝込んだりもしていました。
ーー寝込まれるくらい大変だったんですね。
本気でコーチやってるから、「コーチに向いてないかもしれない。」という考えは自分にとってものすごいショックだったんです。
ただ、もともと打たれ強いので一日くらい寝込んだら元気にもどって、またコーチングやる、みたいな。
そんなことが続いてました。
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